この記事では、Windowsシステムでオーディオパフォーマンスの問題(音割れ、音飛び、ノイズ)の要因を特定し、解決するための方法を解説します。
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ただし、以下のセクション「BIOS/チップセット/コンポーネントドライバのアップデート」および「その他の推奨事項」は動画では解説されていませんのでご注意ください。
はじめに - コンピュータを最適化する必要がある理由
Windows PCは非常に多くのメーカーで製造されており、使用可能なハードウェアの組み合わせも無限にあるため、互換性の問題や望ましくない部品構成の相性問題に結びつく可能性があります。
また、PCコンピュータの多くがオフィスアプリケーションやゲーム用途に最適なパフォーマンスを得られるよう設計されていますが、音楽制作用途のコンピュータに要求されるものは、オフィスやゲーム用のコンピュータのものとは通常全く異なります。その結果、既製または自作のコンピュータをリアルタイムのオーディオ処理に最適なパフォーマンスを得られるために設定する事が多くの場合必要になります。
この記事では最も重要なオーディオ処理のためのWindows最適化の方法をご紹介します。これらの情報はシステムの全体的なパフォーマンスの向上についても及びます。音切れやノイズなどオーディオが正常に再生されない問題が生じている場合には、この記事をよく読み、提案されている事柄を一つずつお試し下さい。
免責事項:この記事ではNative Instrumentsと直接関係のないサードパーティ製のツールについて言及しています。弊社ではこれらのツールを十分に検証した上で情報を提供しておりますが、これらのツールの機能と安全性を保証するものではありません。
最初のステップ
オーディオ設定の調整
DAWやNIアプリケーションのオーディオ設定には、Audio Driver, Device, Sample Rate, Bufferといった共通の特定の機能があります。この例では、MaschineのPreferencesでKomplete Audio 6 Mk2を設定しています。
1. Audio Driver
オプション1:通常、楽曲制作や録音用に設計されたオーディオインターフェースは、パフォーマンスが向上し、デバイスに固有のASIOドライバが装備されています。独自のASIOドライバを提供するオーディオインターフェイスは、通常、他のオプションを使用するよりも優れたパフォーマンスを発揮します。 最高のパフォーマンスを確保するには、オーディオインターフェースの製造元ウェブサイトを参照して、専用のASIOドライバが付属しているかどうかをご確認ください。
ご使用のオーディオインターフェースに専用のASIOドライバがない場合、以下のオプションをご確認ください:
オプション2:汎用ドライバであるASIO4ALLをダウンロードし、インストールして下さい。最新のASIO4ALLはこちらのウェブサイトからダウンロード可能です。
注意:ご使用のサウンドカード用にASIO4ALLドライバーを設定する方法については、こちらの動画をご参照ください。
オプション3:一部のDAWでは、Generic Low Latency ASIO Driverが利用可能です。ASIO4ALLでパフォーマンスが向上しない場合は試してみてください。ここではAbleton Live 11を例として示します:
2. Device
ここでは、使用している特定のオーディオデバイスを選択します。
3. Sample Rate
Sample Rateは、録音および再生中のオーディオ品質を設定します。Sample Rateが高いほど音質は良くなります。44100HzのSample RateはCD品質に相当します。48000HzのSample Rateは、プロオーディオ機器での使用に一般的です。より高いSample Rateを選択すると、音質をさらに向上させることができますが、これにより、コンピュータの作業負荷も高くなってしまいます。
4. Buffer Size / ASIO Config
Buffer Sizeは、オーディオアプリケーションがオーディオ信号を処理するために必要となる時間を設定します。ASIOドライバを使用するMaschineのこの例では、Open Panelというラベルの付いたオプションがあり、ここでアプリケーションのBuffer Sizeを調整できます。WASAPI Exclusive Modeをご使用の場合は、スライダーを使用してバッファーサイズを直接調整できます。
ここでは、128、256、512、または1024のいずれかの値を使用することをお勧めします。オーディオ制作専用コンピュータでは、より低い値を選択で切るかもしれません。録音中のレイテンシーを減らすためには、128のバッファサイズを使用することをお勧めします。多くのプラグインと混合する場合は、コンピュータの処理時間を長くする必要があるため、1024のバッファサイズがより適切です。 ほとんどの録音とミキシングの作業に適した中間の数値を設定する場合は、256または512で十分です。
バッファサイズを設定する際の目的は、クリーンなオーディオの再生と録音を提供する、可能な限り低い値を見つけることです。これによりレイテンシーを最小限に抑えることができ、ソフトウェアインストゥルメンツの演奏やタイトな録音の作成が容易になります。
オーディオインターフェースからの出力音が歪んだり、音飛びしたりする場合は、Buffer Sizeに戻って、より高い値の設定をお試しください。オーディオの再生がクリーンな場合は、低い値を試すこともできます。楽曲に多くのエフェクトやインストゥルメントを追加し始めるときは、バッファーサイズを増やす必要があるかもしれません。
バッファサイズと、それがレイテンシにどのように影響するかに関する詳細情報
コンピュータのメイン・プロセッサがグラフィック処理やハードディスクの読み書き、MIDIコントローラーなどの周辺機器とのデータのやりとり、それからもちろんオーディオ信号の処理など、異なるタスク間の処理を切り替えている間、オーディオ・データを一時的に蓄積するためにオーディオ・バッファを使用します。システムは同時にすべてのタスクを処理出来ないため、様々なプロセスからのデータを「バッファ」する必要があります。ここでオーディオバッファ(レイテンシー、プロセスバッファ、サンプルバッファとも呼ばれます)が効果を発揮します。通常、高速なコンピュータであればあるほど、短時間で処理が可能になるため、オーディオ・バッファを小さくする事が出来ます。
オーディオバッファサイズとその結果生じるレイテンシーは直接関係しているため、オーディオバッファは小さい方が望ましいのです。レイテンシーという用語はアクション(例:マイクに向かって唄う)とその結果得られる出力(例:スピーカーから聞こえる歌声)の間に生じる遅延を意味します。バッファサイズ、レイテンシーが大きいほど、アクションから出力結果までの遅延も大きくなってしまい、演奏やレコーディングの際の妨げとなってしまう事があります。
小さいバッファサイズ/レイテンシーを使用するデメリットは、コンピュータへ負荷をかけてしまう事です。コンピュータに課せられた全てのタスクが、設定されたバッファサイズ内で処理できない場合、オーディオ出力の乱れや音割れなどのノイズが生じてしまいす。こうなった場合はオーディオ・バッファサイズを増やす事でコンピュータの性能に適した設定を行う必要があります。
オーディオドライバのアップデート
ご使用オーディオインターフェース用の最新のドライバ(利用可能な場合はファームウェアも)がインストールされているかご確認ください。最新のドライバは、オーディオインターフェースの製造元のウェブサイトにあります。 Native Instruments製オーディオインターフェースをご使用の場合は、こちらで最新のドライバとファームウェアのアップデートを見つけることができます。
USBおよびFirewireデバイスを確認する
発生しているオーディオの問題を引き起こす可能性のあるデバイスまたはドライバを特定するために、オーディオインターフェースを除き、コンピュータに接続されているすべてのUSBおよびFireWireデバイスを取り外した状態でオーディオの問題が発生するかどうかをテストしてください。問題が発生しない場合は、一度に1つのデバイスのみを接続して、もう一度テストを行います。特定のデバイスを接続した時に問題が再発する場合は、そのデバイス用の最新ドライバまたはファームウェアを探すか、製造元にお問い合わせください。
USBバスパワーで動作するオーディオデバイスをご使用の場合、デバイスがUSBポートから十分な電力を受け取っていない可能性があります。同様に、複数のデバイスが同じ内部USBルートハブに接続されて(例えばセルフパワーのUSBハブを介して)いる場合、これらのデバイスの総需要が共有で利用可能な電力を消費している可能性があります。すべてのデベイスを取り外して問題が改善された場合、一つずつデバイスを接続して、複数あるUSBポートを差し替えてテストを行い、より良く動作するポートがあるかご確認ください。
電源設定
省電力オプションと電源プラン設定
- スタートボタン(Windowsアイコン)をクリックして「コントロールパネル」と入力し、Windowsコントロールパネルを開きます。
- コントロールパネルからシステムとセキュリティ > 電源オプション を選択します。
- 電源プランを高パフォーマンスに設定し(この設定が表示されない場合は、追加のプランを表示しますを最初にクリックしてください)、続いてプラン設定の変更をクリックしてください。
- 続いて表示されるページではディスプレイの電源を切るとコンピューターをスリープ状態にするを両方なしに設定します。
- 次に詳細な電源設定の変更をクリックし、電源オプションウインドウで以下の各設定をご確認ください:
- ハードディスク > 次の時間が経過後ハードディスクの電源を切る > 設定=なし
- スリープ > 次の時間が経過後スリープする > 設定=なし
- USB 設定 > USBのセレクティブサスペンドの設定 > 設定=無効
- ディスプレイ > 次の時間が経過後ディスプレイの電源を切る > 設定=なし
- プロセッサの電源管理 > 最小のプロセッサの状態 > 設定=100%
- プロセッサの電源管理 > 最大のプロセッサの状態 > 設定=100%
重要事項:多くのノートPCメーカーが、CPUや構成部品のエネルギー設定をコントロールする独自のアプリケーションを追加でインストールしているため、Windowsの電源オプションで設定した内容は効果を発揮しない場合があります。前述した電源オプションの最適化を有効にして問題解決の確認を行うためには、このようなアプリケーションは無効化してください。
USBポートの電源設定
- スタートボタン(Windowsアイコン)を右クリックして「デバイスマネージャー」を選択し、Windowsデバイスマネージャーを開きます。
-
ユニバーサルシリアルバスコントローラー内にあるUSB Root Hubをそれぞれ右クリックしてプロパティを選択します。
- 各USB Root Hubのプロパティウィンドウの電源の管理タブで、電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにするのチェックを外します。
LatencyMonを使用して問題の要因を特定する
LatencyMonのインストールと使用
LatencyMonアプリケーションを使用して、どのデバイス、ドライバ、サービスがレイテンシー問題の要因となっているか特定する事が可能です。
- Resplendence Softwareのダウンロードページを開きます。に移動します。
- System Monitoring ToolsセクションからLatencyMonの最新バージョンをダウンロードし、インストールしてください。
- ブラウザと実行中の他のすべてのアプリケーションを終了します。
- 外部オーディオインターフェースとの併用でオーディオの問題が生じている場合は、インターフェースが接続され、オーディオデバイスとして設定されている事をご確認ください。
- LetencyMonを起動します。デフォルトでは以下の場所にあります:
C: > Program Files > LatencyMon > "LatMon.exe" - 緑色の再生ボタンをクリックしてテストを開始します。
LatencyMonで有益な解析結果を得るには、最低でも5分間は解析を実行する必要があります。これはオーディオの問題が発生するために必要な時間になります。その後再生ボタンの隣にある停止ボタンをクリックしてテストを終了してください。
テスト終了後、Mainタブには以下のいずれかのメッセージが表示されます:
'Your system appears to be suitable for handling real-time audio and other tasks without dropouts.'.
もしくは
'Your system appears to be having trouble handling real-time audio and other tasks. You are likely to experience buffer underruns appearing as dropouts, clicks, and pops...'.
前者の場合は、ご使用のシステムでレイテンシーの問題が発生していない事を示しています。LatencyMonのテスト結果が問題ないにも関わらず、依然としてパフォーマンスに問題が生じている場合は以下の項目をご確認ください:
- オーディオインターフェースのコントロールパネルで設定を確認する(レイテンシー、サンプルレートなど)
- オーディオアプリケーションを起動中に他のアプリケーションやサービスが実行されていない事を確認する
- オーディオインターフェースのドライバやファームウェアを最新バージョンにアップデートする
- ご使用コンピュータのシステムコンポーネントがオーディオソフトウェアのシステム要件を満たしているか確認する
- CPUのSpeed-Steppingがシステムパフォーマンスに影響を与えていないか確認する(下記Speedsteppingをご参照ください)
後者の場合は、発生しているレイテンシーの問題をシステムレベルで改善する必要がある事を示しています。次のセクションでは、LatencyMonの解析結果から問題要因を特定する方法を解説します。
問題要因のドライバを特定する
LatencyMonのテスト終了後、Driversタブに切り替え、各システムドライバのレイテンシー計測値を確認します。この値はHighest Execution (ms)カラムに表示されます。下図の例ではすべての値が1ms以下であるため、問題のあるドライバはありません。
それに対し、下図の例ではレイテンシーの値が17,92msを示しています。この関連するドライバ(この例ではNVIDIA Windows Kernel Mode Driver)の値は明らかに1msを超えているため、レイテンシーの値を下げてオーディオパフォーマンスの問題を解決するには、ドライバ自体を無効化するか、アップデートや再設定などを行う必要があります。
各ドライバのそれぞれのレイテンシーを合計する事で1ms以上のレイテンシーとなる場合がありますのでご注意ください。(例えば別々のドライバーで0.9と0.5の結果があった場合、合計で1.4msとなり、1.4msの結果を得たのと同じ問題を引き起こす可能性があります)
1ms以上の値を示すドライバーがあった場合、影響を及ぼすドライバーがどのデバイスに属するものなのかを確認し、可能であればコントロールパネルのデバイスマネージャで該当するデバイスを無効にしてください。これについては次章「Windowsデバイスマネージャでデバイスを無効にする」で解説します。
デバイスを無効にしていいか確信が持てない場合は、ドライバの名称かデバイスの名称(LatencyMonのDriversタブにあるDescription に表示)をウェブで検索して、該当デバイスを無効にして問題ないかご確認ください。
LatencyMonのHighest Executionに高い数値を示すものとしてNative Instrumentsサポートに頻繁に報告されるドライバのリストを作成しました。このリストにはこれらのドライバのレイテンシーを下げるためのヒントが記載されています。これは、次章「Windowsデバイスマネージャでデバイスを無効にする」の最後でご確認いただけます。
Windowsデバイスマネージャでデバイスを無効にする
オーディオの問題の共通の原因は、オーディオ処理とは直接関係のないドライバやバックグラウンドサービスです。これらは規則的にCPUに負荷をかけ、オーディオ処理に必要なリソースを占有してしまいます。
LatencyMonではどのドライバやコンポーネントがオーディオパフォーマンス問題の一因となっているかを確認できますが、場合によってはLatencyMonに表示された問題要因のファイル名をインターネットで検索し、そのデバイスやドライバがコンピュータとどういった関連があるのか確認する必要があります。潜在的な問題要因のデバイスやドライバ名をメモした上で、Windowsスタートボタンを右クリックして「デバイスマネージャー」を選択し、Windowsデバイスマネージャを起動してください。
Windowsの動作に必須のデバイスは無効にしないよう十分ご注意ください。以下のリストは決して無効にしてはいけないデバイスとなります:
- システムタイマー
- キーボード
- システムCMOS / リアルタイムクロック
- Microsoft ACPI-Compliant System
- 数値データプロセッサ
- プライマリIDEチャネル
- セカンダリIDEチャネル
- グラフィックコントローラ
- Ultra ATA Storage Controllers
一般的に、システムデバイス内の項目は無効にしてはいけないものとなります。
デバイスマネージャ上で、LatencyMonが報告した問題のデバイスを探してください。その項目がコンピュータの基本操作に必須のデバイス(上記参照)でなかった場合は、項目を右クリックして無効(アンインストールではありません!)を選択してください。
問題のデバイスを無効にしたら、コンピュータを再起動した上でオーディオの問題が改善されたかテストを行ってください。
また、LatencyMonでは問題としてリストアップされなかったものでも、システムリソースを節約するために(もしくはリソースの節約が問題解決に有効かテストするために)無効にする事が可能な以下のデバイスもあります:
- ネットワークアダプター
- 無線LANカード
- Bluetoothポート
- 赤外線ポート
- ACPI compliant battery
- トラックパッド(マウスが接続されている場合のみ)
- ビデオカメラ
- DVDドライブ
- システムの一部に必須ではないサードパーティコンポーネント(Windowsの通常操作に影響を与えないと確認出来るもののみを無効にしてください)
- 内蔵サウンドカード(TRAKTOR AUDIO 6/10や、それ以外の外部USBオーディオインターフェースをご使用の場合のみ)
LatencyMonで高い実行値を引き起こすと報告されることが多いドライバのリスト
以下は、LatencyMonで最高実行値が高くなると報告されることが多いドライバのリストです。ここでは、これらのドライバのレイテンシーを削減する方法に関する推奨事項を提供します。
デバイスドライバ | 推奨 |
acpi.sys |
デバイスマネージャから「Microsoft ACPI-Compliant Control Method Battery」を無効にしてみてください。 |
atapi.sys / ntfs.sys / iaStore.sys / iaStoreA.sys / ataport.sys / storport.sys |
チップセットやIDE / ATAPI / SATAコントローラのドライバをアップデートしてください。また、コンピュータのIDE / ATAPI / SATAコントローラの特定の名前をウェブ検索する事で、よりよいパフォーマンスを得られるバージョンのドライバが見つかるかもしれません。各バージョンのドライバのDPC性能に関する情報をお調べください。IDE / ATAPI / SATAコントローラの名前は、Windowsデバイスマネージャでか確認できます。 |
dxkrnl.sys / nvlddmkm.sys |
グラフィックカード用の最新ドライバをインストールしてください。最新ドライバで問題改善されなかった 場合は、古いバージョンもお試しください。さらにWindowsの視覚効果をすべて無効にしてみてください。 また、グラフィックカードに対して有効になる省電力設定が、オーディオ再生に問題を引き起こす場合がありますのでご注意ください。グラフィックカードに対して有効になる省電力設定があるかどうかをご確認いただき、あった場合はスイッチをオフにしていただく事をお勧めします。ATIカードの省電力機能は通常「PowerPlay」と呼ばれ、NVIDIAカードの場合は通常「PowerMizer」と呼ばれるものです。グラフィックドライバの設定パネルに省電力の設定が表示されない場合は 「Powermizer Switch」(NVIDIAカード用)あるいは「Rivatuner」(ATIとNVIDIA用)もしくは 「ATITool」(ATIカード用)などのツールをご使用ください。ウェブ検索で解決策を見つける事が出来なかった場合は、グラフィックカードの省電力を無効にする方法について情報を得るためにグラフィックカードのメーカーに直接お問い合わせください。 |
i8042prt.sys |
これはPS2ポートのドライバです。このドライバが高い数値を示している場合は、PS2ポートに接続されているデバイスのドライバをアップデートし、メインボード用のチップセットドライバをインストールしてみてください。もしくはPS2デバイス(通常はマウスやキーボード)を使う代わりにUSBデバイスと取り替えるというのも有効です。 |
ndis.sys / tcip.sys / netio.sys / tunnel.sys |
これらのネットワークに関連するドライバの実行時間を低下させるためには、デバイスマネージャで全てのネットワークカードを無効にしてください。必要に応じ、後で有効にすることも可能です。 |
usbport.sys |
これはUSBコントローラ用のドライバです。この値を低くするにはオーディオ処理に関係のないUSBデバイ スをコンピュータから取り外す必要があります。また、ご使用のコンピュータに搭載のチップセットやUSB コントローラのドライバをアップデートする事も有効です。またタッチパッドを使用した際にこの USBport.sysの値が極端に上がってしまうケースが確認されていますので、タッチパッドのドライバをア ップデートするか、もしくはタッチパッドは無効にしてマウスをお使いください |
ntoskrnl.exe / ntkrnlpa.exe |
このドライバはWindowsカーネルに属するものです。BIOSも含めてチップセット、IDE / ATAPI / SATAコ ントローラ、USBコントローラなど全ての利用可能なシステムアップデートを適用してください。通常はCPU負荷に結びつくものではないのですが、USB 3.0のポートにUSB 2.0デバイスを接続した時に高負荷になるという報告が寄せられています。こういったケースの場合、USB 3.0コントローラ用の最新のドライバをインストールするか、デバイスをUSB 2.0ポートに接続してください。 |
Speedstepping
システムドライバのレイテンシー値が1ms以下であるにも関わらず、依然としてオーディオの問題が生じている場合は、LatencyMonのテスト終了後にStatsタブを開いてください。ここではReported CPU SpeedとMeasured CPU Speedの二つの数値(MHz)が確認出来ます。
Reported CPU Speedは理論上の計測値であり、いくつかの要因(熱、有効なコア数、プロセッサの仕様)によって影響を受けるため、Measured CPU Speedの方が低い数値であるのが通常です。 しかし、高いレイテンシーを示すドライバがなく、Measured CPU Speedの数値がReported CPU Speedの数値と比べて著しく低い(さらにシステム要件の必要スペックよりもCPU速度が遅い)場合、オーディオパフォーマンスの問題要因はSpeedsteppingである可能性が考えられます。
Speedstepping(AMDプロセッサではCool'n'Quietと呼ばれます)は、いくつかのインテル製CPUにおいて、消費電力やバッテリの寿命を延ばすためにCPU速度を動的に減少させるテクノロジーですが、このCPUクロックの減少はオーディオデータ処理の安定性に悪影響を与える場合があります。Speedsteppingを無効にするには、上記「省電力オプションと電源プラン設定」の章で解説したように、システムの電源プランの設定を調整してください。
注意:電源プランを調整後も問題が改善せず、その後のLatencyMonのテストでもMeasured CPU Speedの数値が増加しない場合、システムのBIOSで直接Speedsteppingを無効にする必要があるかもしれません。また、TurboBoostなどのテクノロジーもCPUクロック速度の安定性を妨げている場合があります。BIOSの設定変更はご使用のシステムに潜在的なダメージを与えてしまう可能性もあるため、設定変更される前にご使用PCの製造メーカーにお問い合わせいただく事をお勧めします。
BIOS/チップセット/コンポーネント・ドライバのアップデート
BIOSアップデート
BIOS とは「Basic Input Output System」の略で、マザーボードのチップ上で動作する起動プログラムです。BIOSはマザーボードの構成部品が相互に働くよう(ウインドウズが動作する前のハードウェア管理レベルで)コントロールしています。BIOSの更新は一般的にバグ修正を主として、マザーボードの構成部品のパフォーマンスを向上させます。新しいソフトウェアと同様に、BIOSの更新プログラムは通常、新製品が発売された直後にバグの修正やパフォーマンス改善のためにリリースされます。
メーカー製コンピュータ(例えばDellやHP/Compaqなど)をご使用なら、製造元ウェブサイトでご使用のコンピュータに利用可能なBIOS更新プログラムがあるかご確認ください。インストール方法は通常ホームページに記されているか、ダウンロードしたファイルの中に添付されています。自作PCをご使用なら、ご使用マザーボードの製造元のウェブサイトをご確認ください。最良のパフォーマンスを得るためにBIOSアップデートは非常に重要です。
Chipset / Component Driver Update
チップセットとはコンピュータのマザーボード上で重要なハードドライブやUSBオペレーションなどを扱うプロセッサー・チップ(主演算処理装置を除く)の グループを意味します。チップセットのメーカーはインテル、AMD、Nvidiaなどが挙げられます。Windowsは通常1セットの汎用チップセット・ドライバを内蔵していますが、これらは可能な限り様々な機種との互換性を持たせる目的で設計されているため、チップセットのメーカーによって提供されるカスタマイズされたドライバの方がウィンドウズ内蔵の汎用ドライバより良いパフォーマンスを得られます。
メーカー製コンピュータ(例えばDellやHP、Lenovoなど)をご使用なら、製造元メーカーのウェブサイトで、ご使用のコンピュータで利用可能な最新チップセット・ドライバがあるかご確認ください。インストール方法は通常ホームページに記されているか、ダウンロードしたファイルの中に添付されています。自作PCをご使用なら、ご使用マザーボードの製造元ウェブサイトをご確認ください。
同様の事がコンピュータにインストールされた他のすべてのハードウェア・コンポーネントに当てはまります:ネットワークアダプタ、内蔵オーディオインターフェース、FireWireコントローラー、グラフィックドライバあるいはその他にインストールされているデバイスや周辺機器用に利用可能なドライバの最新版をすべてダウンロードしてインストールしてください。メーカー製コンピュータについては、これらのドライバもコンピューター・メーカーのウェブサイトで通常は見つけることができます。自作PCに関しては、各ハードウェア・コンポーネントのメーカーのウェブサイトで最新の利用可能なドライバーを確認する必要があるでしょう。
その他の推奨事項
グラフィックカードツール
Ati Power PlayやNvidia Powermizerのような一部のグラフィックカードツールは、グラフィックカードのパフォーマンスを優先的に実行するため、リアルタイム・オーディオの妨げとなってしまいます。これらのツールは無効にするかアンインストールしてください。
一部のNvidia製グラフィック・チップを搭載したノートPCでは、デバイスマネージャでグラフィックドライバを無効化するだけで、オーディオ再生の問題解決に至る事があるようです。デバイスマネージャでグラフィックドライバを無効にした場合、Windows標準のビデオドライバがシステムの再起動後に自動的に適用されます。グラフィックドライバが問題の要因かどうかは、これが判別方法となるでしょう。
プロセッサのスケジュール
プロセッサのスケジュール設定では、プログラムの動作を優先させるか、バックグラウンドサービスの動作を優先させるかを選択できます。この設定において、プログラムは画面上に起動しているアプリケーションを指し、バックグラウンドサービスとは直接確認する事は出来ないものの、バックグラウンドで常に重要なシステムのタスクを処理しているソフトウェアを指します。バックグラウンドサービスの中で最も重要な例として挙げられるのは、 使用しているオーディオインターフェースのドライバです。
多くの場合においてオーディオの音飛びやノイズの原因となってしまうのは、オーディオインターフェースのドライバーが時間内にすべてのデータを処理することが出来ないためです。そのためバックグランドサービス(と共にオーディオドライバ)の処理を優先させる事が、全体的なオーディオパフォーマンスの向上に繋がる事が多いようです。 バックグラウンドサービスの処理を優先させるには以下の設定を行なってください:
-
スタートボタン(Windowsアイコン)をクリックして「システムの詳細設定」と入力し、Windowsシステムの詳細設定を開きます。
-
詳細設定タブのパフォーマンス下部にある設定ボタンをクリックします。
-
パフォーマンスオプションでさらに詳細設定タブを開き、バックグラウンドサービスを選択します。
-
適用をクリックして変更を確定します。
注意:一部のアプリケーションはプロセッサのスケジュールをプログラムに設定する事でより良く動作する場合があります。上記の設定後にオーディオパフォーマンスが悪化した場合は、プログラムに設定を変更してみて下さい。どちらの設定を使用しなければならないかについての詳細は、各ソフトウェアの取扱説明書をご参照ください。
ハードドライブオプション
以下で解説するハードドライブの設定は、オーディオファイルの録音や再生を行う際、より効率的に動作させる方法となります:
- オーディオファイルが保存されているハードドライブのプロパティを開きます。これを行うには、エクスプローラウィンドウを開き、PCをクリックしてください。
- オーディオ用に使用しているドライブを右クリックします。
-
プロパティを選択します。
- このドライブを圧縮してディスク領域を空けると、このドライブ上のファイルに対し、プロパティだけでなくコンテンツにもインデックスを付けるの両方のチェックを外してください。
- 適用とOKをクリックしてください。
クラウドストレージに関する注意事項
コンテンツ、プロジェクト、サンプルをクラウドドライブと同期すると、パフォーマンスの問題が発生する可能性があります。コンテンツをクラウドドライブにバックアップすることは可能ですが、リアルタイム同期を構成することは推奨されません。コンテンツ、プロジェクト、サンプルの同期は、NIアプリケーションが使用されていない時にのみ行う必要があります。