この記事では、TRAKTORのStemデッキにロードされたStemファイルの個別のStems(トラック)をコントロールする方法についてご説明します。 TRAKTOR 2.9.0でStemファイル(.stem.mp4)の各Stemパートごとにボリューム/フィルター/FXの量をコントロールするためのStemデッキが導入されました。TRAKTOR 2.10.1以降においてStemデッキでは、4つ別々のトラックだけでなく、ボリューム/フィルター/FXも個別のコントロールが表示されます。
注意:デッキにファイルをロードした際、TRAKTORはファイルタイプを検知してデッキフレーバーをトラックデッキ(すべての対応ファイルフォーマット)、リミックスデッキ(.trakファイル用)、およびステムデッキ(.stem.mp4ファイル用)に自動的に切り替えます。ただし、Live Inputデッキから別のデッキフレーバーへ自動的に切り替わることはありません。
次のセクションでは、Stemファイルの個別のトラックの視覚化とコントロールの方法についてご説明します。
専用のNative InstrumentsコントローラーとStemデッキの統合
以下のNative Instruments製コントローラーでは、Stemsの自動的な統合が可能です:
- TRAKTOR KONTROL S8
- TRAKTOR KONTROL D2
- TRAKTOR KONTROL F1
個々のStemsをハードウェアでコントロールするには、コントローラーを接続した状態(KONTROL D2 / F1では、最初の接続時にエンコーダーの操作でデッキを選択する必要があります)でStemファイルをTRAKTORのデッキに単にロードするだけです。デバイスのコントロール要素はStemコントロール用に以下の方法で自動的に設定されます:
TRAKTOR KONTROL S8 / D2
- 内蔵ディスプレイにおける4つのStems(波形、名前、色)の完全な視覚化
- パフォーマンスフェーダー経由でのStemボリュームコントロール
- パフォーマンスボタン経由でのフィルターやFXセンドのオン/オフ
- パフォーマンスノブ経由でのカットオフ周波数やFXセンドのdry/wet量のフィルタリング(液晶下部のナビゲート矢印ボタンを押して、FILTERとFX SENDを切り替えます)
下図はTRAKTOR KONTROL S8 / D2の内蔵ディスプレイでのStem表示を示しています。
TRAKTOR KONTROL F1
- アウトプット色(RGB)とパッド(カラム)の明るさによって表される、各Stemボリュームレベルの視覚化
- フェーダー経由でのStemボリュームコントロール
- STOPパッド経由でのStemボリュームミュート
- FILTERノブ経由でカットオフ周波数のフィルタリング
- FXパッド経由でFXセンドのオン/オフ
サードパーティ製コントローラーにStemデッキコマンドをマッピングする
Stemsの最適なコントロールと視覚化が専用のNIデバイスのみで実行可能な一方で、サードパーティ製コントローラーにStemコマンドをマッピングすることも可能です。TRAKTORのController Managerは、Stem Deckの4つのStems、Remix Deckのスロットそれぞれのボリューム、FXやフィルターカットオフ周波数をコントロールするためのインプット/アウトプットコマンドのサブセットを含んでいます。 これらはController ManagerのAssignment TableにあるAdd In…メニューのDeck Common > Submixにあるコマンドセットで設定可能です。
コマンドのターゲットを指定するにはAssignmentフィールドを使用します。下図の例では、デッキAの各Stem(Slot 1-4)のボリュームをコントロールするために、サードパーティ製コントローラーの4つのフェーダーをマッピングしています。Mapping DetailsセクションのAssignmentフィールドでは、各コマンドのターゲットを指定できます。
注意:Stemデッキの割り当てはGeneric Keyboardマッピングにおいても可能であるため、コンピュータのキーボードでもコマンドをトリガーできますが、コンピュータのキーボードという物理的な特性の制約上、Stemデッキのインタラクティブな操作は非常に制限されてきます。MIDIコマンドと汎用MIDIマッピングに関する詳細は、TRAKTORマニュアルおよびこの記事の下部にある関連記事セクションをご参照ください。
Stemの慣習
個々のStemsを視覚化する手段がない場合(サードパーティ製コントローラーにマッピング)や、限定的な視覚化(KONTROL F1に表示されるカラーのみ)しかない場合、すべてのStemファイルに当てはまるとは限りませんが、Stemファイルに適用される慣習をメモしておくことが役立ちます。
Stemパートのアレンジ
- 最初(左端)のStemはドラム (MIDI割り当て:Slot 1)
- 左から2つ目のStemはベース (MIDI割り当て:Slot 2)
- 3つ目のStemは強力なフックやメロディ (MIDI割り当て:Slot 3)
- 4つ目(右端)のStemはヴォーカルのためのものです。ヴォーカルがない曲の場合、残りの楽曲パート、基本的な伴奏、ハーモニー、追加のパーカッションなどになります。(MIDI割り当て:Slot 4)
カラー
各Stemはコンテンツの識別子として、ソフトウェアとハードウェアで使用されるRGBカラー定義を持っています。 一般に使用される色は、Stemの主体な周波数成分に基づいています。例えば、高周波/高音域のStemsが青い色合いである一方、低周波/低音域のStemsは赤い色合いです。 以下は可能なStem配置と色の例です:
- Stem Part 1 (左端) ドラムを含んでいる (色:赤)
- Stem Part 2 (左から2つ目) ベースを含んでいる (色:ピンク/パープルスペクトル)
- Stem Part 3 (右から2つ目) ハーモニックシンセを含んでいる (色:グリーンスペクトル)
- Stem Part 4 (右端) メロディックシンセを含んでいる (色:ブルースペクトル)
Stemsの再生とStemクリエーターツールに使用に関する詳細は専門のウェブサイトをご参照ください:
http://www.stems-music.com/