この記事ではリアルタイム・オーディオ・アプリケーションの動作、特に実際にパフォーマンスを行う場面においてMacの動作を向上させるための基本的な設定方法を解説します。
注意:NIオーディオインターフェースの動作に問題が生じた場合は、本ページ下部にリンクされている関連記事をご参照ください。
オーディオ設定
ほとんどのオーディオ・アプリケーションは、環境設定でレイテンシー/バッファサイズやサンプルレートを設定することが出来ます。レイテンシー/バッファサイズは、コンピュータが途切れのないオーディオ再生を行う際の演算処理に要する時間を設定するものとなります。
これはご使用コンピュータの処理能力とアプリケーションが必要とする演算量に依りますが、サンプルレート44100 Hz(Mac OS X 10.9以降では48000 Hzを推奨)で、バッファサイズを256または512 samplesに設定することをお勧めします。
はじめにレイテンシー/バッファサイズを256 samplesに設定し、ソフトウェアシンセをキーボードでライブ演奏した際、オーディオ出力のタイミングに顕著な遅延が生じる場合は、128 samplesに値を減少させて下さい。もしオーディオ再生中に音切れなどが発生する場合には512 samplesに上げてみてください。
電源供給
特にオーディオインターフェースやMIDIコントローラーのような外部機器を使用する場合は、MacBookにACアダプタを接続してください。また、MacBookを適切に接地(アース)するために電源の延長ケーブルをご使用ください。
USBハブ
USB 2.0/3.0ポートを備えたMacモデルでは、同時使用する外部USBデバイスの数を拡張するためにUSBハブが必要な場合があります。新しいMacモデルでは、USB 2.0/3.0ポートを内蔵していないため、USBハブの使用は必須となります。ハードウェアセットアップにUSBハブを含める場合は、以下の点を考慮してください:
- 必ず電源付きのUSBハブをご使用ください。これはセルフパワーUSBハブとして販売されています。
- USB接続のオーディオインターフェイスを使用する場合は、USBハブに接続しないでください。オーディオインターフェイスは他のデバイスよりも大きな電力と演算量を必要とするため、コンピュータのUSBポートに直接接続する必要があります。オーディオインターフェイス以外の外部デバイスはUSBハブに接続していただいて問題ありません。
他のアプリケーション
使用しているオーディオソフトウェア以外のアプリケーションはすべて終了してください。これはインターネットブラウザ、電子メールソフトやバックグラウンド処理を含む、オーディオ作業に必要のない全てのソフトウェアに当てはまります。
Wi-FiとBluetooth
ネットワークアクティビティはオーディオ再生を干渉する可能性がありますので、Wi-Fi / Airportはオフにする事をお勧めします。これを行うには FinderのメニューバーにあるWi-Fiアイコンを開きWi-Fiをオフにするを選択します(下図参照)
同じことがBluetooth接続にも当てはまります。メニューバーのBluetoothアイコンを開きBluetoothをオフにするを選択します。(下図参照)
省エネルギー設定

スリープモード
普段コンピュータをシャットダウンする代わりにスリープモードを使用している(例えばMacBookを閉じて)場合、スリープから復帰後オーディオアプリケーションを起動する前にMacを再起動していただく事をお勧めします。
グラフィックカードの切替
Intel HD Graphicsと専用グラフィックカードの両方を搭載したMacBook Proをご使用の場合は、オーディオアプリケーションを起動する前にグラフィックスモードを高性能に切り替えることをお勧めします。これはシステム環境設定の省エネルギーセクションで、グラフィックスの自動切り替えのチェックを外すことで設定できます(下図参照)
緊急モーションセンサーを無効にする(ノートPCのみ)
この最適化は、大音量の中でレコーディングをしている場合などに振動や衝撃を受けた際、損傷を防ぐためにハードディスクの回転を停止させてしまう緊急モーションセンサーを無効にします。
- Macintosh HD > アプリケーション > ユーティリティ > ターミナルを開きます。
- 「sudo pmset -a sms 0」と入力してreturnキーを押します。これは緊急モーションセンサーを無効にするコマンドです。
- 管理者パスワードを入力します。
- 「sudo pmset -g」と入力し、設定が適用されたことを確認します。
緊急モーションセンサーを有効にするには:
- 「sudo pmset -a sms 1」と入力してreturnキーを押します。これは緊急モーションセンサーを有効にするコマンドです。
- 管理者パスワードを入力します。
- 「sudo pmset -g」と入力し、設定が適用されたことを確認します。
Spotlightインデックスを無効にする
MacのSpotlightユーティリティは、システムの仮想インデックスを作成することによって、ファイルやフォルダをすばやく見つけます。このインデックス作成がオーディオアプリケーションのパフォーマンスを妨げないようにするには、以下の手順に従ってください:
注意:この設定を適用すると、Spotlightはプライベートに設定したドライブを検索できなくなりますが、 後でプライバシーリストからドライブを簡単に削除することができます。
- システム環境設定 > Spotlight > プライバシーを開きます。
- 左下の+アイコンをクリックし、プライベートにしたいドライブをクリックして、選択で確定します。
- プライバシーリストに追加するドライブごとに上記の手順を繰り返します。
- リストからドライブを除外するには、リスト上のドライブアイコンを選択した上で、ーアイコンをクリックします。
輝度の自動調節を無効にする
ご使用のMacに環境光センサーが備わっている場合、輝度の自動調節を無効にすることで、波形表示関連のパフォーマンスが向上します。無効にするには以下の手順に従ってください:
- システム環境設定 > ディスプレイを開きます。
- マルチディスプレイをご使用の場合は、内蔵ディスプレイを選択します。
- 輝度を自動調節のチェックを外します。
クラウドストレージに関する注意事項
コンテンツ、プロジェクト、サンプルをクラウドドライブと同期すると、パフォーマンスの問題が発生する可能性があります。 コンテンツをクラウドドライブにバックアップすることは可能ですが、リアルタイム同期を構成することは推奨されません。 コンテンツ、プロジェクト、サンプルの同期は、NIアプリケーションが使用されていない時にのみ行う必要があります。