この記事では、Native Instruments製品を使用する上で、コンピュータを購入する前にコンピュータシステムのハードウェアコンポーネンツ(CPU、メモリなど)の処理性能を判断するための一般的なアドバイスと実践的な方法をご案内します。また、各ハードウェアシステムコンポーネントの詳細については、弊社のハードウェアコンポーネントガイドをご参照ください。既に購入済みのシステムで、オーディオパフォーマンスの問題(オーディオノイズ、音の歪み)が発生している場合は、WindowsまたはOS X対応のシステム最適化ガイドをご参照ください。
本記事は以下の章で構成されています:
- システム要件:ハードウェア要件の背後にある一般的な概念と、それらがコンピュータシステム上のオーディオパフォーマンスにどのように影響するかを解説します。
- ベンチマークツール:特定ハードウェアコンポーネントの性能を判断するために、Passmark Softwareツールを使用する方法をご案内します。
1. システム要件
Native Instrumentsでは、製品の使用に対応する最小のシステム要件を決定するため、組織的な検証を実施しています。Native Instruments製品のサブページSPECIFICATIONSのシステム要件で、オフィシャルの最小システム要件がご確認いただけます。これらの仕様は、製品によって異なる場合があります。また、各製品ページに記載されている特定システムコンポーネントの仕様は、NI製品を使用する方法によって大きくなる場合があります。
例: Maschineをスタンドアロンモードで、3つのサンプル(キック、ハット、スネア)がある一つのみのグループで使用した場合のシステム要件は、多くのグループとインストゥルメンツを使用した場合の要件よりもはるかに低くなります。 このため、ご使用用途に合わせてシステムコンポーネントの要件(例:高めのCPU速度/多めのコア数、RAMメモリの増設など)をご検討ください。
重要事項:ご使用システムのコンポーネントが一つでも最小要件を満たしていない場合、製品の動作を保証することはできません。
ハードウェアの依存関係
システム全体の処理能力は、ハードウェアコンポーネンツとシステム設定両方の調整による複数の要因に依存します。下記のリストでは、システム上でリアルタイムのオーディオ処理に影響を与えるハードウェア関連の問題となる例を挙げています:
- プロセッサのリソースを必要とするグラフィクカード、ネットワークアダプタ、USBコントローラなど、システムの周辺コンポーネント。
- 複数のUSB機器(オーディオインテーフェース/ハードドライブ/コントローラー)を一つのポートで同時に使用する。
- 不安定なACアダプタ、またはバッテリー電源。
- コンピュータハードウェアコンポーネントの過熱。
さらに、他の周辺コンポーネントのパフォーマンスが大幅に低下した場合、コアシステムコンポーネント(CPU/RAM)のパフォーマンスも影響を免れません。一つのシステムコンポーネントの性能が著しく低い場合、リアルタイムオーディオデータの効率的な処理に支障が生じます。言い換えれば、システム全体の処理能力は、最も性能の低いコンポーネントによって決定(妨害)されるということになります。
例: コンピュータのマザーボードのバス速度が、RAMモジュールやCPUとの効率的な通信に必要な速度よりも大幅に低い場合、RAMメモリやCPUは、仕様で示された速度と性能を達成できません - これは「システムボトルネック」とも呼ばれるものです。
このため、主要コンポーネントのみを最小要件に合わせるだけでなく、すべてのシステムコンポーネントを考慮してください。この記事では、関連するすべてのハードウェアコンポーネントに適した仕様について解説しています。
2. ベンチマークツール
Passmark Softwareウェブサイトは、特定ハードウェアコンポーネントの想定される処理能力を推定するための、信頼できる情報源です。ここでは、各コンポーネントを複数の側面からリサーチすることができます。Benchmarkシステムは個々のコンポーネントをランク付けし、さらに、特定のモデルを絶対ランキングで比較したり、2つのモデルを相互に比較したりすることができます。下記ではハードウェアコンポーネントのCPU(Central Processing Unit)の例を示します。
注意:ベンチマークの結果について、Native Instruments製品のSPECIFICATIONSサブページのシステム要件だけでなく、弊社ハードウェアコンポーネントガイドで提供している推奨事項を比較して、ご使用システムが正式対応しているか、ご使用用途に必要となるパフォーマンスに見合ったものかを確認することをお勧めします。
- Passmark Softwareウェブサイトを開きます。デフォルトのタブはCPU Benchmarksです。
- ページをスクロールダウンしてSearch for your CPU Modelをクリックします。
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Find CPUの欄に検索したいモデル名を入力します。下図の例ではIntel Core i5 520@ 2.4 GHzです。オートコンプリート機能が正しい項目を見つけるのに役立ちます。項目を選択し、Find CPUをクリックして確認します。
- 該当するモデルの項目が表示されます。モデル名Intel Core i5 520 @ 2.40 GHzをクリックして、比較表にジャンプします。
注意:別のモデルと比較する場合はCompareをクリックしてください。
- CPUモデルがランク付けされた位置に表示されます。「Passmark CPU」の値(この例では2,244)が高いほど、プロセッサーモデルの処理性能が高いということです。
性能の低いCPUは、NI製品を最大限に活用するには不十分な場合があるため、High EndもしくはHigh to Mid Range CPUチャートに記載のモデルのみを選択していただくことを強くお勧めします。 これらのカテゴリに該当するすべてのモデルを、スタートページから両方のチャートを参照して確認することができます:http://www.cpubenchmark.net/
Passmark Softwareウェブサイトの上部にあるように、検索できるものはCPUだけではありません。グラフィックカード、ハードドライブ、RAMなども同様に検索できます。
Passmark Softwareウェブサイトに記載されている情報は絶対的なものではありませんので、ご了承ください。この資料に記載されている情報とPassmarkウェブサイトの結果を比較した上で、システムプロバイダから専門的なアドバイスを求めることをお勧めします。